木村英紀先生 The Giorgio Quazza Medal 受賞決定
SICE元会長である木村英紀先生(現在,理研BSI-トヨタ連携センター長,科学技術振興機構研究開発戦略 センター 上席フェロー)が,IFAC(国際自動制御連盟)において最高の栄誉である “The Giorgio Quazza Medal”を受賞されることが決定いたしました.
木村先生の受賞は日本人初の快挙であるだけではなく,アジア地域からの初の選出となります.
長年,SICEを国内での中心的な活躍の場とされていた木村先生の受賞は,日本の計測制御界とって大変喜ばしい明るいニュースです.
木村先生のこれまでのご活躍に敬意を表すと共に,今回の受賞に対して心よりお祝いを申し上げます.
木村先生の受賞理由
受賞理由は,“For Outstanding Contribution to Multivariable and Robust Control”です.
木村先生は,多変数制御系に関する研究成果により,IFACにおいて2度の Automatica論文賞(3年ごとに3編の選出)を,理論(1984年)と応用(1990年)のそれぞれのカテゴリーで受賞されました.
また,ロバスト安定化可能性や連鎖散乱表現とJ無損失因数分解に基づくH∞制御の解法をはじめとするロバスト制御に対する先駆的な研究成果を挙げられ,1985年にIEEE CSSよりGeorge S. Axelby Outstanding Paper Awardを受賞されました.さらに,ACPA (The Asian Control Professor’s Association) やACA(The Asian Control Association)におけるご尽力等,制御工学分野に数々の顕著な貢献をされました.
“The Giorgio Quazza Medal” の概要について
この賞は,イタリアのパワー制御の研究者Prof. G. Quazzaを悼んで1979年に創設された,IFACの主要なメダルの中で最も歴史のある制御工学分野最高の賞です.制御工学の発展に貢献した研究者が3年に1度選出され,木村先生が11人目の受賞者となります.
過去の受賞者リストは以下の通りです:
- 1981 Prof. John F. Coales (UK)
- 1984 Prof. Yakov Z. Tsypkin (RU)
- 1987 Prof. Karl J. Astrom (SE)
- 1990 Prof. Petar Kokotovic (US)
- 1993 Prof. Edward J. Davison (CA)
- 1996 Prof. Alberto Isidori (IT)
- 1999 Prof. Brian D.O. Anderson (AU)
- 2002 Prof. Lennart Ljung (SE)
- 2005 Prof. Tamer Basar (US)
- 2008 Prof. Graham Goodwin (AU)
授賞式について
授賞式は,2011年8月にProf. G. Quazzaの祖国イタリアで開催されるIFAC世界大会にて執り行われます.
参考文献,関連リンク
- IFAC Webサイト, The Giorgio Quazza Medal:
http://www.ifac-control.org/awards/major-medals#documentContent - IFAC Webサイト, Automatica Paper Prize:
http://www.ifac-control.org/awards/past-award-winners/automatica-paper-prize - 理研 Webサイト, 木村英紀 連携センター長 The Giorgio Quazza Medal受賞決定:
http://www.riken.go.jp/r-world/topics/100827/ - 日本学術会議 Webサイト, The Giorgio Quazza Medalの受賞について:
http://www.scj.go.jp/ja/int/haken/pdf/100630.pdf - In Memoriam: Giorgio Quazza, IEEE Trans. on AC, 24, 6, p.833, 1979
- 日本経済新聞朝刊,制御工学貢献で木村氏にメダル,2010年7月19日付