主催・企画: 計測自動制御学会 制御部門

ご周知のとおり, 第9回制御部門大会が2009年3月4日(水)〜6日(金)に広島大学総合科学部 (広島県東広島市) で開催されます. 例年と同様に部門大会前日に有料(賛助会員および部門大会に参加する学生は無料)のワークショップを企画したいと思います.

毎年行われている定番SICEセミナー (ロバスト制御, システム同定など) が広く会員を対象としているのと異なり, ワークショップは制御部門大会の参加者を対象に考えて, 制御部門に関係する先端的な話題, 基礎的な話題などを集中的に講習し, 受講者に短期間で身につけていただくというものです.

今回のワークショップでは, 講師として5 人の先生方をお招きし,数式処理についてその基礎となる概念およびシステム解析・設計への応用について基礎から最新の動向までわかりやすくお話ししていただきます.

制御部門大会にお越しの方は, ぜひこの機会にご参加いただければ幸いです. また部門大会の参加者に限らず, どなたでもご自由に参加できますので, 研究者・エンジニア・学生の皆様には, この機会を逃すことなく, ぜひ奮ってご参加いただきますようご案内申し上げます. 特に, 賛助会員の方々および部門大会に参加する学生の方々は無料で聴講できますので, 部門大会と同様に積極的なご参加をお願いいたします.

[制御部門事業委員会: 名古屋工業大学 水野直樹, (株)富士通研究所 丸山次人, 首都大学東京 児島晃, 京都大学 藤岡久也]

日  時

2008 年 3 月 3 日 (火) 13:00〜17:30

会  場

広島大学総合科学部 (東広島キャンパス) 東講義棟 (K棟) K110 講義室
[〒739-8521 広島県東広島市鏡山一丁目7-1]

プログラム

  1. 数式処理とシステム制御 (13:10-13:40)
    • 講師: 原辰次君(東京大学)
    • 概要: 実応用における制御系設計において,制御器のパラメータや制御対象の物理パラメータなどを直接扱えることは,達成可能な制御性能などシステムの理解や最適パラメータの調整に大いに役立つ. 本講演では,このようなパラメータを考慮した制御系の解析・設計手法と最新の数式処理がどのように関わっているかについて,幾つかの例を通して紹介する. また,互いに相補的な関係にある「数式処理」と「数値最適化」を融合した手法にも言及する.
  2. パラメトリック最適化と制御系設計 (13:40-14:30)
    • 講師: 穴井宏和君((株)富士通研究所/九州大学)
    • 概要: 最近科学技術計算技法の一つである計算機代数,いわゆる,数式処理の手法が理工学や産業上のいろいろな問題に対して用いられるようになってきた. 本講演では,まず数式処理の特徴について概説し,制約・最適化問題の代数的な解法である限量子消去 (quantifier elimination: QE) について解説する. また、限量子消去を活用することで可能となるパラメトリック最適化手法の 有効性について制御系設計の具体的な応用例を取り上げながら紹介する.
  3. グレブナ基底と多項式スペクトル分解 (14:30-15:20)
    • 講師: 管野政明君((独)科学技術振興機構/東京大学)
    • 概要: 計算機の性能の向上だけでなく理論の発展とそれに伴なうアルゴリズムの改良の結果,代数的手法の適用範囲が広まり,工学など応用の分野における代数的手法に対する期待はいっそう高まってきている. 本講演では,代数的手法の重要な結果であるグレブナ基底の基礎について概説し,さらにその手法に基づいた多項式スペクトル分解の解法を紹介し,パラメータを含む制御系に対する最適設計の可能性について議論する.
  4. 計算機代数学の信号処理やシステム制御への応用 (15:40-16:30)
    • 講師: 徐粒君(秋田県立大学)
    • 概要: 様々の応用例を用いて,グレブナ基底など計算機代数学の手法は,複数の独立変数または変動パラメータが存在する場合に関する多くの信号処理とシステム制御の問題に対し,非常に有用かつ有効であることを説明するとともに、その新しい展開の可能性を示す.
  5. ロボット数式処理システムROSAMによる解析と制御応用 (16:30-17:20)
    • 講師: 川﨑晴久君(岐阜大学)
    • 概要: 数式処理システムROSAMは,数式処理ソフトウェアMapleのロボット解析用ライブラリーである. ロボットの解析では,順運動学,逆運動学,順動力学,逆動力学等のモデルが必要で,ROSAMを利用することでこれらの数式モデルを容易に導出できる. 講演では,ROSAMの概要と多指ハプティックインターフェイス制御における操作性最適化制御への応用について紹介する.

定  員

90名 (定員になり次第, 締め切ります.)

参 加 費

 

正会員: 2,000円, 一般学生: 1,000円, 会員外: 3,000円

ただし,賛助会員の方々および部門大会に参加する学生の方々は無料です.

参加申し込みURL

https://www.sice.or.jp/bukai_web_appli/sindex.html

参加費振込方法

http://www.sice.or.jp/oshirase/info/sankahi.html

 をご覧ください.

講師紹介

原辰次君
1976年東京工業大学理工学研究科修士課程修了. 東京工業大学助教授・教授を経て,2002年東京大学情報理工学研究科教授となり,現在に至る. SICE副会長,IEEE CSS Vice-President. 2006年George S. Axelby Outstanding Paper Award受賞. ロバスト制御理論,量子制御,計算機援用制御系設計などの研究に従事,工学博士. SICEフェロー,IEEE Fellow.
穴井宏和君
1991年鹿児島大学大学院理学研究科修士課程修了. 同年(株)富士通研究所入社. 国際情報社会科学研究所勤務. 1999年〜2000年 Universitaet Passau数学・情報学部(代数) 客員研究員. 現在(株)富士通研究所主任研究員及び (独)科学技術振興機構CREST「数値/数式ハイブリッド計算に基づくロバスト最適化プラットフォームの構築」研究代表者. 2008年九州大学大学院数理学府及び産業技術数理研究センター教授を兼任現職. 主として 計算機代数のアルゴリズムおよびそのシステム制御理論等への応用の研究・教育に従事. 数式処理学会、シミュレーション学会、計測自動制御学会などの会員.博士(情報理工学)
管野政明君
1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了. 同年,いすゞ自動車(株)入社. 2003年英国ケンブリッジ大学工学博士課程修了. 同年ケンブリッジ大学工学部研究助手. 2005年科学技術振興機構,CREST研究員となり現在に至る. ロバスト制御理論,計算機代数システムの制御系解析・設計への応用,精度保証付き計算に関する研究に従事.PhD. 日本機械学会,日本数式処理学会などの会員.
徐粒君
1993年豊橋技術科学大学大学院工学研究科システム情報工学専攻博士課程修了. 豊橋技術科学大学助手,朝日大学講師,秋田県立大学助教授/准教授を経て,2007年から秋田県立大学システム科学技術学部電子情報システム学科教授. 現在,多次元システム理論と応用,多次元信号処理,計算機代数学の制御工学への 応用などの研究に従事. IEEE Circuits and Systems Society デジタル信号処理技術委員会(DSP TC)メンバー,国際誌Multidimensional Systems and Signal Processing(MSSP)の Associate Editor, MSSP特集号「Applications of Grobner Bases in Multidimensional Systems and Signal Processing」のGuest Editor. 博士(工学).
川﨑晴久君
1974年3月名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了, 同年日本電信電話公社(現 NTT)入社,1990年4月金沢工業大学教授,1994年8月岐阜大学工学部教授,1998年7月〜1999年1月英国サリー大客員教授,2008年4 月副工学部長,現在に至る. ロボット制御,バーチャルリアリティ応用ロボティクスなどの研究に従事.計測自動制御学会,日本ロボット学会,日本機械学会,日本バーチャルリアリティ学会,IEEEなどの会員(工学博士).

問合わせ先

水野直樹
名古屋工業大学機械工学科
電話 (052) 735-5339, FAX (052)735-5342
email: nmizuno [at] nitech.ac.jp
丸山次人
(株)富士通研究所
電話(046)250-8191, FAX(046)250-8151
email: t.maruyama [at] jp.fujitsu.com
児島晃
首都大学東京システムデザイン研究科
電話(042)585-8646, FAX(042)583-5119
email: akojima [at] cc.tmit.ac.jp
藤岡久也
京都大学情報学研究科
電話 (075) 753-5902, FAX (075) 753-5517
email: fujioka [at] i.kyoto-u.ac.jp